箱には、本体、ACアダプタ、USBケーブル、説明書、64MBのSDカードが入っていました。専用のアプリケーションソフトはないようです。編集ソフトなどは好きなものを入れるので、この方がいいですね。ところで、いつも思うのですが、デジカメとか、どうして使い道のない小容量のカードを付けるのでしょう。動作確認用でしょうか。時計などで、「モニター用です」と電池についての説明書きがありますね。ああいう感じでしょうか。付属のSDカードには、いくつかの短いサンプル音が入っていますので、本当にモニター用なのかもしれません。
袋から出してみると、とても安っぽい質感。4万円もする品とは思えません。3000円くらいのMP3プレイヤーという感じ。組み付けも悪く、銀と黒の部品の合わせ部分には隙間があって、取り付けの爪や中が見えています。不良品かも。でも、全体の質感からするとこの程度のものかも。大きさは煙草の箱くらい。さすがに、駆動メカがないので軽いです。
まずは、電池を入れてみます。SDカードとUSBコネクタのカバーと共通なので、一気に電池まで抜けぬよう、多段式の展開となっていて、開け方がアオシマの合体プラモのようにいささかトリッキーです。わざわざ、別紙にカラー写真で電池の入れ方の段階写真付き説明書が用意されています。これを見ずに、一気に下まで蓋を引き下ろそうとして壊す人がいるかもしれません。
電源を入れると、有機EL画面がきれいに光ります。黒地に白色表示でとても見やすいですが、やや表示にちらつき感があります。輝度を最小にしても、この白がかなり明るいので、OHPなどを使うために照明の暗い講演会などでの収録は、周りの人の迷惑になる恐れありですが、メニューから切りにも出来ますし、操作しないと減光します。録音状態にすると、赤くボタンの周りが光りますが、これも、しばらくすると消えます。
電池は、残量表示の都合だと思うのですが、アルカリとニッケル水素の設定があります。この辺り、HP200LXと似てますね。HP200LXはニッカドですが、R-09はニッ水なのが時代の差です。
サンプル音を、WMD-DT1で使っているヘッドフォンで聴いてみました。電源を入れると、「スー」という雑音が聞こえます。再生すると、音の煌めき感はありますが、薄っぺらい感じの音です。デジタル的という音なのでしょうか。
WMD-DT1と同じ音源を2GBのカードに入れてみました。R-09はアナログ入力しかありませんので、別の装置でDATからデジタル接続で44.1-16のWAVファイルを生成し、そのファイルを移します。USBでマスストレージにもなりますが、カードリーダーで入れた方が速いようです。なぜか説明書にはカードを取り出してファイルを直接書き込むことにはふれられていません。
再生してみると、中音域はかなり物足りない感じです。それぞれの音は輪郭がハッキリしていますが、全体的には、まとまりが浅いというか、深みがないというか。残念ながら、WMD-DT1の代わりにプレイヤーとして持ち歩くということはなさそうです。
ファイル名には制限があり、曲順はこのファイル名を元にソートされる順かシャッフルで、電源を切ると、次に電源を入れた時は常に1つ目のファイルから再生されて、止めた場所に復帰できないので、あくまでも録音機として使う方が良さそうです。
再生時だけに掛かる効果として、REVERBが付いています。効果は数種類ありますが、メーカー側が、リハ録りなどをきれいな感じで聴くためといっている事から分かるように、掛かり具合は、これで何かしようというレベルのものではありません。HALLというより、風呂屋になったりします。
マイクやラインで色々録音してみましたが、「スー」音は、待機中だけではなく再生中も聴こえます。アナログ、デジタル、どちらの出力でも出るのですが、WAVファイルを直接開けば、録音データそのものはきれいなので、再生系の問題なのでしょう。
サウンドデザイナーで編集し、CDW-900Eで焼いてみました。あるレコードエンジニアが発表会で、「R-09で録音したCDが発売されているかもしれない」と語ったそうですが、録音する対象や用途にもよるとは思いますが、音質面で、かなり厳しいと思います。
もっとも、この価格帯の製品をそういう本格的なCD作りに使う方が問題なわけですし、R-09自体は、価格以上の実力を持っていると思います。手軽な生録、バンドのデモCD用の録音などに、力を発揮してくれるでしょう。